はじめに
車中泊愛好者として、車内の空気環境はどの様なものか常々疑問に思っていました。車内の環境基準を定めた法律はないと思いますが、公共の室内環境の基準は様々な法律で定められています。二酸化炭素だけに絞ると以下のような基準となります。
・建築物衛生法(厚生労働省) 1000ppm
・労働安全衛生法(厚生労働省) 5000ppm(空気調和設備が無い場合)
・学校保健安全法(文部科学省) 1500ppm
人体に深刻な影響を与える濃度は5000ppm以上のようですが、2000ppm辺りからは集中力などに影響が出てくるようです。車中泊では8時間以上車内にいることもありましたので、車内環境が実際どうなっているのか実験してみました。
二酸化炭素濃度測定器
実験には以下の機器を使用しました。
名称:CO2モニター CO2-mini 【CUSTOM】
主な仕様:
・測定範囲:0~3000ppm
・濃度によりLEDランプが変わる
緑:< 800 ppm
黄:800 ~ 1200 ppm
赤:> 1200 ppm
・電源:USB
実験環境
実験車種:スズキエブリィ2009年式
測定場所:神奈川県西部
気温:17℃ 湿度:50%
搭乗者:173㎝ 60㎏ 中年おやじ紳士
実験1:窓全閉
・条件:車内の全ての窓を全閉 ・搭乗者:1名 ・計測時間:15分
・まず測定した場所が神奈川県なのですが、濃度は420~450ppmを示していました。気象庁発表の二酸化炭素濃度の平均値が420程なので、機器の誤差もほぼないものと考え測定を開始します。
(450からは落ちるのに時間がかかるため450を割った時点で計測します。)
・4分経過したところですでに800ppmを超え黄色ランプが点灯、6分程経過後には1000ppmを超えました。
・15分経過時点で1390ppm、一名のみの搭乗で僅か15分にしてこの値は結構高いですね。
実験2:後部窓両面5㎝程開放
サイドバイザー幅程開けている
・条件:後部の窓を両面5㎝開放 ・搭乗者:1名 ・計測時間:15分
・全閉の約2割減の1135ppmでした。思ったほど減らなかったです。
実験3:後部窓両面5㎝程開放 + 換気扇稼働
・条件:後部の窓を両面5㎝開放し片面に換気扇設置及び稼働 ・搭乗者:1名 ・計測時間:15分
・15分経過時点で610ppm、600ppm超えてから平衡状態になったようです。換気扇効果大有りで、驚きました。
実験4:窓全閉 + バーナー使用 (とても危険)
・条件:窓全閉 ・搭乗者:無し ・使用バーナー:ST310(2,500kcal/h)・計測時間:2000ppm超えるまで
3分弱で黄色ランプ点灯
4分で赤ランプ 5分で1500ppm
・僅か7分弱で2000ppmを超えました。バーナーは弱火にしましたが、窓全閉での火気の使用は自殺行為ですね。この装置では一酸化炭素濃度は測れませんし酸素濃度もわかりませんが、この状況では酸素と二酸化炭素は逆相関にあるので、二酸化炭素濃度上昇 ⇒ 酸素濃度低下 ⇒ 一酸化炭素濃度上昇(不完全燃焼)という状況に陥るものと考えられます。危険なので無人で実験を行いましたが、CO2が2000ppmなら大丈夫とはなりません。一酸化炭素の毒性は二酸化炭素の比ではなく、僅かな曝露で深刻な状態に至ります。一酸化炭素中毒の詳細は国や自治体等のHPを参照ください。
まとめ
・今回良く解ったのは、車中泊するしないに関係なく車の窓を全閉にすると恐ろしく車内環境が悪くなると言うことでしょうか。搭乗者一人、しかも安静状態で15分後にはCO2濃度が1400ppm程に上昇しました。緊張する高速道路で4人乗りの車内はどの様な状況になっているのか、考えると怖くなります。5000ppmを超えると判断力がかなり低下するようですから車内換気の注意喚起はもっとするべきではないでしょうか?エアコンも外気取入れモードにしないといけないですね。
あと、換気扇の効果が数値として明確に出たので、これは為になりました。適当に作った割によく機能しています。寒い時期は窓全開とはいかないので、車中泊する人はCO2や加齢臭臭い対策に設置することをお勧めしたいです。
この実験自体試行回数が1回のみですので、あくまでも参考にしかなりませんが、車内換気の重要性が少しでもお伝えできれば幸いです。
追記:ブログをご覧になられた方から、自らの経験をもとにした一酸化炭素中毒の危険性に関するメールを頂きました。当初この投稿では一酸化炭素に関しては全く触れていませんでしたが、実験4を見て”2000ppmなら大丈夫じゃないか”とミスリードされてしまう危険性に気づかされました。迂闊でしたが早い段階でご指摘を頂き、修正が出来たことは幸運と考えております。
メール(Twitter)をして頂いた方には、この場を借りて御礼申し上げます。
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